「ブログを書いたら、本を出版できた!」は本当か?

      2021/06/06

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こんにちは、出版プロデューサーの岡山泰士です。
 
あなたは
「ブログを書いたら、本を出版できました!」
という話をどこかで聞いたことはありませんか?
 
僕の周りの編集者でも、ブログ経由で著者候補を見つけ、
企画を通して本を出版したケースがあります。
 
一人の編集者が年間に何冊も出版しなければならない昨今、
人脈が広くいつもアンテナを貼っている編集者といえども、
いいネタを書ける著者、これまでにない本を書ける人をいつも探しています。
 
だから、テレビやラジオ、新聞や雑誌などのオールドメディアはもちろん、ブログやYouTube、最近ではNOTEからも著者候補を探していますし、ブログで書かれた記事が元で書籍化した例はたくさんありますよね。
 
でも、ブログを書いていれば書籍化できるかと言えば、
話はそんなに単純ではありません。
 
では、どうすればブログから書籍化につなげることができるのでしょうか?
編集歴25年の出版プロデューサーが「編集者」の立場からお答えします。
 

●編集者・出版社が求めているものは何か?

 
 
先にも書いたように「売れそうな企画」や「新しい著者」を編集者はいつも探しています。
だからもしあなたが、独自の視点でブログ記事を書き、それが多くの読者に支持されているなら、それだけで編集者から書籍化のオファーが届いたとしても不思議ではありません。
 
では、どうすればそんなブログが書けるのでしょうか?
そして、あなたのブログを読者が発見してくれて、人気ブログに育てるにはどうすれば良いか?
 
その答えは、コンセプトをきちんと決めて「企画書」を書くことにあります。
「ブログを書くのに企画書?」
と不思議に思われるかもしれませんが、その理由はシンプルです。
 
実は、全ての本作りは「企画書」から始まります。
いきなり原稿を書き始めるのではなく、書く前に、
「誰のために、なんのために書くのか?」をきちんと整理して、
想定した読者が喜ぶであろう内容やトピックは何かを調べたり、
読者のお困りごとやお悩み事をていねいにピックアップすることが
企画書作りの基本になります。
 
だから「企画書」ベースで書かれたテキスト(ブログ記事)があれば、
まさに編集者が求めているものになるわけです。
編集者に見つけてもらうには、「編集者が求めているもの」を発信するのがベストです。
そしてそれは、読者が探している情報でもあるのです。
 
企画書の具体的な書き方については、下の記事で解説しているので、参考にしてみてください。
 

出版社の編集者が泣いて喜ぶ企画書の書き方

 

●出版目的のブログを書くための5つのステップ

 
そもそも「誰のために、なんのために」を明確にしなければ
読者が喜ぶ原稿(ブログ記事)は書けないでしょう。
企画書を起点にその辺りを明確にできると、その後の執筆も失敗しないし、挫折もしません。
 
なぜかというと、執筆が行き詰まったり、心が折れて挫折する原因の多くが、
ブログ記事を書く目的(=誰のために何のために)が明確でないからで、
得てしてそういった記事は一人よがりになりがちです。
それでは読者に感謝されたり、よい反応も得られないので、
だんだんと辛くなって、心が折れてしまうことが往々にしてあるのです。
 
企画書を作るプロセスで「誰のために、なんのために」が明確になれば、
喜んでくれる人の顔を思い浮かべながら書くこともできるし、
実際に読者から良い反応が得られると嬉しいですよね!
そしてその気持ちが、次にまたいい原稿を書く力になるという好循環が生まれます。

気がつけば人気ブログになっていたり、編集者からオファーが来たり、
本一冊分の原稿(ブログ記事)が書き上がっていたりするのです。
 
では、企画書に続いてどんなプロセスが必要かというと、
次の5つのステップになります。
 
1.企画書を書く(コンセプトを固める)
2.目次構成を考える(章タイトルと、章ごとの「見出し」まで)
3.見出し単位でブログ記事を書き上げる(各2000字前後)
4.PVを稼ぐためのSEO対策をして、ブログ記事をアップ
5.SNS等でシェアして読者の反応をチェック
書籍化を目的に書いた原稿を、なぜブログで公開することをお勧めするかというと、
書籍化の前に、読者の反応を実際に確認することができるからです。
 
Facebookの「いいね!」がついたり、PV(ページビュー:閲覧数の合計)が集まる記事と
そうでもない記事とが明確になるので、書籍化の際には人気のある記事をもとに全体を構成したり、企画内容そのものを軌道修正することができます。
 
売れるかどうかわからない本を出版するのは、出版社側にとってもリスキーですが
実際にPVが高い記事を集めて書籍にできるのであれば、ある意味テストマーケティングで検証済みとも言えます。
安心して企画を通したり、書籍化へのプロセスも進みやすくなるでしょう。
 

●目次は本の設計図

 
企画書が書けたら、原稿(ブログ記事)を書くわけですが、
その前にもう一つやるべきことがあります。それが
本1冊分の「目次構成」を考えることです。
 
第1章「〇〇〇〇」
第2章「〇〇〇〇」
第3章「〇〇〇〇」
...
 
と各章のタイトルを決めて、
さらに、各章ごとに数本から10本程度の「見出し」があるという構成です。
 
ひと目見ただけで読者が読みたくなるような、
内容を端的に伝える「見出し」を意識しましょう。
たとえば、こんな「見出し」だったら読んでみたくなりませんか?
エピソード ベッドタウンに高級フランス料理店の謎-連結経営-
 謎の多い料理店
 いくつもある謎
 商売の原則は等価交換
 あまりに不思議だから行ってみた
 ……
(『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』山田真哉著・光文社新書より)
 ちょっとした勇気とコツと訓練で「自分の言葉で語る技術」は習得できる
 「自分の言葉で語る技術」とは、自分の言葉で語っているように見える技術
 自分で書かなくても「自分の言葉」になる不思議
 タレントとマネジャーの2役で考える
 ……
(『自分の言葉で語る技術』川上徹也著・朝日文庫より)
第1章 あなたの疲れを軽くしてくれる名言
 江戸庶民のラクに生きる知恵---------松下幸之助
 立派な計画はいらない------------ドラえもん
 「天気予報は当たらない」と言われたときに---石原良純
 ……
(『名言サプリ』西沢泰生著・祥伝社黄金文庫より)
このように「見出し」にもさまざまなパターンがありますが、自分でも読んでみたくなる見出しになっているか、チェックしてみましょう。ブログのPVやメルマガの開封率は「見出し」の良し悪しが決めるという話もあるぐらい、とても大切です。
 
また、「目次構成を考えるのが難しい」という人におすすめなのがマインドマップを使って目次構成を考える方法です。僕は約1時間ほど著者インタビューをしながら、その場で本1冊分の目次構成案を作ってしまいますが、必ずマインドマップで話をメモしています。
 
まず一番重要なキーワード(コンセプト)を決めて、その言葉を補うような二番目にに大切なキーワードを複数拾い、さらにそのキーワードがどんなものかを質問(5W1Hが基本)によって紐解いていくのですが、こうすることで全体が一つのコンセプトに集約された一枚のマインドマップが出来上がります。

実際にマインドマップを使って1冊分の目次を作った例を、下記の著者インタビュー記事内でご紹介しています。ぜひ参考にしてみて下さい。
 

【著者インタビュー】そろそろお酒を卒業してみませんか? 『新月の美断酒』著者 梅田かおるさん

 
ここまで整理できれば、一つ一つのトピック(=見出し)ごとにエピソードだったり事実関係だったり、事例紹介などをしながら、原稿執筆も無理なく進めていくことができます。
 
とてもシンプルだけど、パワフルな思考整理ツール「マインドマップ」。ぜひ、試してみてください。
 

●毎日1本!ブログ記事の執筆がおすすめな理由

 
章構成と見出しができたら、あとは、「毎日1本のブログ記事を書く!」と心に決めて
どんどん書き進めていきましょう。
ブログ記事の長さは、2000文字ぐらいがちょうど良いでしょう。
なぜ2000字が良いかというと、3つ理由があります。
 
・ある程度文字数が多い方がSEO的に有利(=検索されやすい)
・オリジナリティーのある良質な記事が求められているため、一定の文字量が必要。
・2000字は約4ページ(2見開き)に相当するので、見開き単位の構成にそのまま使える。
 
この2000字の記事が50本たまると「10万字」になります。
本1冊は約200ページ前後が多く、1ページに約600字入るので、
10万字前後あればちょうど本一冊分の原稿量に相当します。

つまり、毎日1本のペースで書き進めれば、わずか2か月ほどで、内容的にも、ボリューム的にも、書籍化できる原稿が完成するわけです。
ぜひ、「出版」というゴールを目指して、無理なく、無駄なく、気持ち良く、ブログからの書籍化にチャレンジしてみてください。
 
CB

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