「企画が通らない!」ときの3つの処方箋

      2022/05/18

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英語サービスを提供され、出版も決まっているというTさん。
じつはそれとは別に「クッキングレシピ」を出版したいという希望をお持ちです。
自分の表現としての料理、そして「日本文化」との接点についても伝えていきたいという情熱があり、
企画書を練っていらっしゃいました。

実はある出版関係者とご縁があり、良いところまでは行ったのですが、
営業の反対にあってしまい、最終的には断られてしまいました。
拝見したところ、企画そのものは良いもので、ご実績や貴重な体験もおありの様子。
それはご本人もよくご存知で、条件が揃っているにも関わらず実現しなかったため、

「この先いったいどうすれば?」

というのがご相談内容でした。

本が出版されるまでの流れを解説

企画書が通らないことは良くあること。ここでくじけずに、新しい課題にチャレンジすることで、あなたの本の出版が実現にむけて一歩進みます

 

●なぜ企画が採用されなかったのか?

まず、企画が採用されなかった理由は3つあります。
敗因を分析することで、企画書を通すためのヒントが得られるはずですので
一つずつ見ていきましょう!

①提案先が間違っている。

この方は、たまたまあるパーティーで出会った出版関係者に企画をご相談したのですが、
実は「クッキングレシピ」を出したことがない出版社だったのです。

これでは、本作りのノウハウはもちろん、書店での売り方やマスコミへのPRの方法などの細かいノウハウがないので、もし仮に企画が通ったとしても、不利な条件でスタートせざるを得ません。通常、出版社によって得意・不得意が明確なので(超大手の数社は別)、企画がそもそも通りにくいだけでなく、頑張って作ったとしても、書店での効果的な「販売施策」がわからないでしょう。

【企画実現のヒント1】
あなたの企画書を提出する先は、慎重に検討しましょう。

②社会的なニーズがない

英語本の企画には、明確な社会的ニーズがあります。
成績を良くしたい、社内で昇進したい、あるいは転職機会を得て収入を上げたいなどの理由で、
大勢の方が「英語を勉強したい!」と心から願っているからです。

ところがクッキングのレシピ本はやや微妙です。
もちろん書店にある「料理本コーナー」に行けば多数のレシピ本がありますから、一定のマーケットはあります。
ところが、特別な海外料理について伝えることが企画の主旨だったので、これでは「ニーズ」があるとは言えません。
ニーズがないところに企画は成立しません。買い手がない商品を作るようなものだからです。

【企画実現のヒント2】
市場ニーズがある「企画書」を練りましょう。

③著者のファンがいない

Tさんには英語サービスでのクライアントもいれば、プロフェッショナルとしての実績も十分にあるので、企画は十分成立します。
ところが英語と違って「クッキング」については、顧客やファンがいるわけではなく、ブログやYouTubeを通じた「情報発信」も特に意識して行なっていませんでした。

実は出版社で企画が通るには、2つの方法しかありません。
マーケット(市場)があるか、ファンがいるかです。

ニーズがなければ、そもそもマーケットがないわけですが、
後者の「ファン」もいないのであれば、出版社がフルリスクを背負って出版することはまずあり得ません。

このような状況では、どこか他の出版社に企画を提案したとしても、まず採用されることは難しいでしょう。
採用されるに足る条件を整えてから、再チャレンジした方が、時間が無駄にならないのでおすすめです。

【企画実現のヒント3】
採用されるに足る「条件」を整えて再チャレンジしましょう!

ではどのような条件が必要で、それらをどう整えていけば良いのでしょうか?

●出版社が喜んで企画を通してくれる7つの条件

実は出版社にとっても「美味しい企画」というものが存在します。
「待ってました!」と言わんばかりに企画のゴーサインが出て、
初出版だろうが、様々なハードルがあろうが、全力で出版に力を入れてくれることがあります。

それは以下7つの条件のうち、少なくとも3つ4つ、時には全て兼ね備えている企画です。

【出版社が喜んで企画を通す7つの条件】

  1. 著者が全国区の著名人
    テレビ番組のレギュラーを持つ、オリンピックで金メダル、誰もが知る会社の社長などのパターンです
  2. 噂のネタやニュースの真相がわかる
    郷ひろみの『ダディー』とか、宮沢りえ写真集『SantaFe』、石原慎太郎『弟』とか(例えが古くてすいません!笑)
  3. YouTubeやInstaでフォロワーが多数!
    ある大手出版社では「10万人」という基準があるそうです(その後火消しに回っていたから、きっとホンネでしょう)
  4. 世界一、最大数収録、世界初など
    何か1つでも「他にない」「これまでにない」よさが明確であること
  5. 大きなマーケットがあることが確実なジャンルで、これまでにない「切り口」の企画
    実用書の中でもダイエット、お金、モテ系は3大市場。多数の既刊本を上回る内容なら、売れる可能性大です。
  6. 買い取り数が大きい、または教科書指定本
    大学で教科書に採用、ある企業が社員用に数千冊購入予定、宗教団体や資格認定団体の教本など。
  7. 過去にベストセラーを出した実績がある著者の新刊
    数万から十数万規模の販売実績がある著者には、出版社側からオファーが来るでしょう。

多くの人が「フォロワー10万なんて無理!」と思ったことでしょう。
もちろん、マーケティング力があるとか、広告予算を割けるだけの資金力があるなど、
何か強みがあれば、決して目指せない数ではないのかもしれませんが、個人ではハードルが高く感じるかもしれません。

では、もう少し現実的で、「チャレンジできそう」と思える目標があるとしたら、知りたいですか?
実は、商業出版の実現のためには「マジックナンバー」があるのです。

●商業出版の最低線は「5,000部」

商業出版の標準的な初版部数(スタート時に作る冊数)は5,000部です。
つまり、最低でも5,000部は売れると見込みが立たない企画は、通したくても通せないのです。

なかには3,000部スタートの高額本、専門書などもありますが、
超大手でも、中堅出版社でも、だいたいが4,000部〜5,000部スタートです。

なぜかと言えば答えは簡単。3つの理由があります。

【商業出版が5,000部からスタートする3つの理由】
第1に、それぐらい売れないと、編集者や営業部員の給料やオフィスの家賃が払えないから(粗利金額的に)
第2に、本の定価は千円前後と極めて低いので、5,000部は刷らないとその価格帯で出せないから(原価構造的に)
第3に、一人の編集者が年間に作れる本の数は、数冊から多くても10冊ほど。売れない本を作る暇がない(時間制約)

なぜ商業出版はハードルが高いのか? 
それは最低でも5,000部が売れる計算が事前に成り立たないと、出版社としても初期投資(200万から多い時で1000万円ほど)の判断ができないからです。

あなたの企画は、「少なくとも」5,000部は売れると見込まれるものになっていますか?
逆に考えれば、もしあなたに熱心なファンが5,000人いるのであれば、商業出版がゴーサインになる可能性がグッと高くなるのです。

●ニーズがあれば、ファンがいなくても企画は通る

書籍・雑誌の市場規模は年間2兆円です。

しかし、たくさんの分野に細かく分かれていますので、それぞれはとても小さいパイの奪い合いとも言えます。
実用書、小説、マンガ、雑誌。
そして実用書の中ではさらに、語学、ビジネス、健康、レシピなど、いわゆる「棚」ごとにマーケットサイズが決まっています。

大きな書店に行くと、それぞれ売り場がありますので、自分の企画した本がどこの売り場(実用書のなかの語学系など)向けなのかをまずは考えてみましょう。

そのうえで、十分なマーケットがあれば、そこで企画が通せる可能性が高くなりますし、
そもそもマーケットがなければ(書店で棚がなければ)、企画が通る可能性は当然低くなります。

でもここで心が折れそうになった人のために、良いヒントをお伝えしましょう。
ある程度マーケットがある実用書であれば、情報やノウハウはすぐに古くなるので、いつでも新刊が求められています。
新しい才能、新しい著者、新しいメソッドは、だからいつでも歓迎されます。

もし、あなたがこれまでにない画期的な方法を実践したことがあり、あるいは日本で初のメソッドを海外から紹介することができるのであれば、それだけで企画書としての魅力は十二分にあると言えます。

●マーケットを育てる=ファンを増やすこと

そもそも、あなたのファンをどうやって増やしていけば良いのでしょうか?

インスタの投稿を頑張る?
YouTubeでバズるようにネタを考える?
Twitter で有名人のフォロワーになって、リツイートしまくる?

ここではあまり詳しく触れませんが(長くなったので別の記事で!)
ご自分のサービスや商品のファンを増やしたり、発信する「メッセージ」に共感する人を増やしていくことは、商業出版実現のために、遠いようで、実は「最短の道のり」です。

SNSのおかげで、フォロワーや「いいね!」の数を増やすことが以前と比べて簡単になってきました。

・YouTube
・ブログ
・Facebook
・インスタ
・クラブハウス
・note

などなど、ご自身が無理なく楽しめて、実際にファンを獲得できることが実感できえるSNSやウェブ媒体を探して、コツコツとファンやフォロワーを増やしていきましょう。

あなたの出版の実現を全力で応援しています!

CB

●セッションを終えてのご感想

すごい参考になる方が多いと思います。
同じようにおなやみの方たちが「あ、こんな風になるんだ」と思われたり、
私と同じようにマーケティングのことを考えてないと思いますので、
「あ、そうか」といろんな方がヒントを得られるはずです。
ありがとうございました。(Mさん)


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