編集者に会うときに準備すべき3つのもの
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先日、あるメンターの対談動画を見ていたら、
二人の編集者が登壇されたのですが、
そのとき一つの注意が伝えられました。
「いきなり企画書や原稿を送らないでくださいね」
企画書を出すのが編集者の仕事。
だから何でもウェルカムなのかと言えば、そんなに話は簡単ではありません。
多くの編集者は、自分の頭で企画を練って、その実現に動くもの。
まだ出版経験のない新人の企画書を喜んで受け付ける人は、多いとは言えません。
もちろん中には「企画募集しています」という出版社もあるのですが、
それこそ企画が通るのは「千三つ」つまり0.3%ぐらいの確率でしょう。
3%ではないですよ。「千人に三人」です。
それでもその3つが当たることもあるので、受け付けているわけですが、
例えば僕がいた古巣の出版社だと、毎日のようにプロのライターや著者、カメラマンから日々企画提案が届きます。
そして、その大半がスルーされるか自費出版部門に回されるのが現実なのです。
プロの編集者が書いた企画書でさえ、100%承認されることはあり得ません。
僕は粘り強く、何度落ちても改善を繰り返して、最終的には承認されるパターンが多いのですが、
それだって何回かは苦渋を味わうこともあるわけです(笑)。
だからもし、あなたの話や普段の活動が気に入られて
晴れて編集者に会えることになったのなら、とても喜ばしいことですし、
そのチャンスを最大限活かせるようにしっかり準備したいですよね!
「でも、そう言われても何を用意したらいいのでしょうか?」
そんな声にお応えして、貴重な機会を100%活かすために
著者や著者の卵が用意すべき3つのものとは?
それは、次の3つです。
【編集者と会う際に用意したい3つのもの】
・企画書(コンセプト案)
・著者プロフィール
・目次(コンテンツ案)
順番にくわしく解説していきましょう!
目次
●企画書(コンセプト案)
何はなくても、最低限、企画書だけは用意しましょう。
誰向けの本なのか。
その読者のニーズやウォンツは何か。
この本の提供価値は何か。
企画書の書き方はこちらの記事を参考にしてください。
●著者プロフィール
著者プロフィールというのは、本の奥付やカバーの袖に印刷された
著者紹介文のことです。職務経歴書や自己紹介文とも違います。
あくまで「著者」としての客観的な記述、事実に基づいたフラットな文章が求められます。
まずは、ご自分の経験や実績を簡潔にまとめてください。
同じジャンルで活躍する、自分が尊敬する著者のプロフィールを参考にして
書き方やトーンをまとめると良いでしょう。
文字数はせいぜい300〜400字程度でOKです。
600字とか800字も書く人もいますが、
悪くないのですがやや長い印象を与えます。
それ以上長いと既読率が下がりますので注意しましょう。
著者のプロフィールの書き方はこちらの記事を参考にしてください。
●目次(コンテンツ案)
はじめに、第1章、第2章、第3章、、、、終わりにまで。
そして、各章を構成する「小見出し」を全てきちんと書き出しましょう。
自分のコンテンツを整然とまとめ、説得力を持たせるように構成できますか?
もし苦手な人は、マインドマップでまとめると作業が楽です。
時系列を気にすることなく思いつく順番に章タイトルや小見出しを書き出していって、
後から順番を決める(番号を振る)だけでよいので、
手を止めることなく気持ちよくアウトプットできます。
全体感や他の項目との関連も、一眼で外観できるのが優れたところです。
詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
●原稿はなくていいの?
原稿はすでに脱稿しているのであれば、あった方が良いでしょうが、マストではありません。
そもそもただでさえ忙しい編集者に「この原稿を読んでください!」と
いきなり10万字もの分厚いテキストを渡されても、多くの場合は戸惑われるだけです。
すでに年間の生産計画が決まっていて、その中で年間何冊も編集を担当している現役編集者が、
通るかどうかもわからない原稿を読む時間はほぼありません。
有名作家でもない限り、その原稿をおし頂いて編集者が受け取ることなど
まず無いといってもいいでしょう。
でも企画書であれば、編集者は気持ちよく受け取ってくれる可能性が高いのです。
一瞬で良いか悪いか判断がつきますし、いい点、わるい点を指摘するのもその場で済むので、
さほど負担感も与えないことでしょう。
このように、相手の(編集者の)タイミングや状況をよく踏まえて
「企画書を渡す」というビックチャンスを活かしていただければ、
先方とも良いコミュニケーションがとれるでしょうし、
たとえその時は企画書が通らなかったとしても、違う企画アイデアを編集者が思いついた時に
先方から声がかからないとも限りません(実際に僕も著者候補にお声がけした経験があります)。
●見本原稿や雑誌掲載記事はOK
「はじめに」や第1章の冒頭部分などであれば短いので相手に負担感を与えません。
僕がクライアントに勧めているのは「小冊子」です。
簡潔にまとまり、全体が構成され、コンセプトが明確であれば、
その「拡大版・拡張版」を商業出版にするというイメージもしやすいでしょう。
そして、企画の可否も一瞬で判断しやすいもの。
小冊子の作り方の手順は以下の通りです。
【小冊子を作る手順】
- 企画書を書く(コンセプトを決める)
- 目次を書く(章タイトルと小見出しまで)
- 小見出しごとに1000字〜2000字で書く
- ブログ記事としてシェアして、フィードバックや反応をチェック
- 反応の良いブログ記事を中心に、全部で1万字〜2万字になるようにまとめる(編集)
- 表紙をデザインする(canvaがおすすめ)
- 印刷は業者に発注がおすすめです!(プリントパックなど多数あり)
「販促用の小冊子」を作りたいと思う人も多いでしょう。その時に大切なポイントは下記をご参照ください。
こちらの電子書籍も参考になると思います!
またもし、雑誌の連載をまとめて本にしたいのなら、
そのコピーやテキストファイルを(全部ではなく)渡すのも意味があります。
メディア掲載は立派な実績ですので、リストにしておくと喜ばれるでしょう。
●出版社と編集者をよく見極める
著者としてのデビューを焦るあまり、相手構わず企画書を送りまくるのはいただけません。
どんな出版社から本を出したいのかをきちんと考えて、
自分の企画書を渡す相手として相応しいのかを事前に調べ、慎重に相手を吟味しましょう。
講談社がいいとか、小学館や学研がサイコーという単純な話でもありません。
角川グループは「フォロワーが10万人必要」という話が一時期ありました(今は否定していますが、本音でしょう)。
競合商品が多いのが出版界の現実なので、買ってくれるのはフォロワーが中心です(少なくとも初期においては)。
フォロワーから輪が広がることが多いのですから、当然かもしれませんね。
でも、実はもっと堅実で好スタートを切る方法があります。
「自分の企画を採用してくれる出版社はどこだろう?」と思ったら、
まずはご自分のジャンルの本が多数、本棚にあるでしょうから、
その本の版元をリストアップして、歴史や出版方針、得意ジャンルなどを研究してください。
そして、一番好きでピンとくる版元から順にアプローチしていくと良いでしょう。
ここで大切なことは、「企画書の一斉送信はNG」です。
「この人はどこの出版社でもいいんだな」と思われたら、損ではないですか?
思いを込めて1社に企画書を手渡しするのと、どこでもいいから採用してくれたらOKなのとでは、
受け取る編集者としては全く意味あいが違います。
良い企画だと思ってじっくり検討して、社内でゴーサインが出たので著者に連絡してみたら
「もう他社で採用が決まりました」なんて返事があろうものなら、
その著者に対して編集者がどう思うかは火を見るよりも明らかでしょう。
編集者(出版社)はプライドが高い人も多いので、
「〇〇社さんから本を出すのが夢でした!」という人と一緒に仕事がしたいでしょうし、
どこでもいいという態度だと知ったら、「うちとはご縁がない」と思われても仕方ありません。
●本作りは編集者と著者の二人三脚
本作りは、著者と編集者との二人三脚。
たとえどんなに著名なベストセラー作家でも、編集者がいなければ絶対に本はできません。
気が合う人で、自分の本のコンセプトや価値をよく理解してくれて、
その上でクリエイティブな提案やポジティブなフィードバックをくれる。
そんな「本作りのパートナー」と出会えたら、著者にとっては一生の宝です。
その編集者がどこの出版社に所属しているかというよりも、その編集者がどういう人物か。
長く付き合ってくれる人かどうかを著者も見るでしょうし、編集者も長く付き合える著者を探しています。
最近、息の長い活動ができる著者が減っているのは、たぶんに編集サイドに問題があると僕は思うのですが、
単に売れれば良いというだけではなく、著者のアイデンティティー(個性)を尊重しつつ、
より多くの読者に届けるための工夫を厭わない。
そんなパートナーともいえる編集者を探してみてください。
●まとめ
・編集者との面談で用意するのは「企画書、プロフィール、目次」の3点。
・原稿はなくても良いが、「見本原稿」は必要。
・出版社は大きければ良いわけではなく、じっくり探そう。
・編集者は本作りのパートナー。いい人との出会いはあなたの可能性を広げてくれる。
ぜひ、参考にしてみてください!
CB