出版社の編集者が泣いて喜ぶ企画書の書き方
2021/10/14
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こんにちは、岡山泰士です。
僕は編集者という立場上、
よく「どうやったら企画が通せるのですか?」と質問を受けます。
企画を通すためには「企画書」を書かないといけません。
それも目の肥えた編集者・営業・発行人の目に
「これは素晴らしい!ぜひ本を出しましょう」
と言わしめるレベルの企画書でないと意味がありません。
では、どうすればそんな夢のような企画書が書けるのでしょうか?
この記事では、前半には本づくりの黒子役、「編集者」のお仕事や人物像について。
そして後半は、そんな編集者が「泣いて喜ぶ企画書」を書くためのポイントをお伝えします。
目次
■編集者というお仕事
けっこう「憧れの職種」の部類に入りそうな編集者というお仕事。
たいていは出版社のサラリーマンで、普通に就職したケースがほとんどでしょう。
第一に、間違いなく「本好き」です。
わざわざ「本を作りたい」ほどですから、読書量とか半端ありません。
さらに、「こんなおもしろい企画あるけどどう?」的な提案ができるアイデア力、企画力がある人。
そして、同時に何冊も本作りを並行して進めているケースが大半なので「超絶忙しい」人種です。
ここまで聞いても、「だから?」という反応の人が大半でしょう(笑)
企画書作りとどう関係あるのかって?
もちろん大ありです!
この「本作りたい」+「企画力」+「忙しい」を突き詰めていくとどうなるかというと、
「なにかおもしろい企画ネタってないかな〜♪」
と常に社会をキョロキョロ見回したり、リサーチしている性癖の人たち、
という姿が浮き彫りになります。
僕自身が編集者ですから、よくわかるのですが、
テレビを見ても、通勤時間でも、家族と食事中でも、
いつもいつも「本の企画」のネタを捜しています。
そして「○○が流行っている」
「○○が新規リニューアルした」
「○○先生がおもしろいこと言ってる」
といった話を小耳に挟む度に
「それなら、うちの出版社から、こういう企画で出せそうだな」
と速攻で企画書を書き上げ、
次の日の朝には電話で取材申込をしていたりします。
ウソみたいですけど、本当です。笑
なぜなら、企画の鮮度が高いうちに料理しないと、
他の出版社に企画を持っていかれる危険があるからなのです。
そんな彼ら=編集者の「典型的」な傾向を上げてみると…
■典型的な編集者像
あなたは『重版出来!』というテレビ番組を観たことはありますか? 出版社の中で繰り広げられる人間ドラマとともに、出版業界についての描写が面白くて、つい観てしまいました。(アルアルと、ウソでしょ!が混じっていましたが...)
もしくは『船を編む』も出版社の中の編集という仕事とその人生模様がていねいに描かれていました。『校閲ガール』と3本続けてみるのもおすすめです。
僕の周りにも実にいろんなタイプの編集者がいるのですが、ざっくりまとめてみると、こんなタイプの人と言えそうです。
- とても好奇心旺盛で行動力抜群。あちこち顔を出す
- 人に会うのが好きで、物怖じしない
- 頭の回転が速く、よく物事を知っている(雑談ネタ豊富)
- 頭の中でおもしろいネタを考えているせいか、ニコニコ顔多い(怖めの人も中にはいますが…笑)
- 仕事早い(思いついたら即行動!)
こういう人種に、もしあなたが「企画書」を提案しよう!と思ったら、どういう企画書がいいと思いますか?
1分ほど考えて見てください…。
はい。真剣に考えられましたか?(笑) では、
「編集者が泣いて喜ぶ(笑)企画書」5つのポイントを発表しましょう!
■編集者が泣いて喜ぶ企画書5つのポイント
- おもしろそう
- 他に無い(ユニーク)
- 刺さるポイントが1つ2つ、できれば3つある
- 自分がいる出版社で企画が通せそう
- 売れそうな要素や材料があるか
①おもしろそう
あえていう間でもありませんが、やはり「おもしろそう!」と興味や好奇心を引かない企画書は速攻ボツです。
最初の一行め、あるいは表題のタイトルで「おもしろそう!」がなければ、すぐゴミ箱直行便です!
厳しいようですが、忙しい彼らは日々たくさんの業務に囲まれている中で、
突然の企画提案をもらっても、基本ホイホイ喜んだりしません。
なぜなら、自分たちが日々企画書を書いていて、
その企画が採用されるハードルの高さを知っているので、
なかなか企画提案が簡単に通らない現実をよくわきまえているのです。
②他に無い(ユニーク)
どこかで見たことがある本や企画よりも、
「この切り口は新しい」とか
「こういう視点ほしかった!」といったメッセージがあると、
企画が通りやすくなります。
企画書も、編集会議で通らなければただのゴミ。
ユニークな企画書に仕立てて注目を浴びるよう、アイデアを練ってみましょう。
③刺さるポイントが2つ、できれば3つある
読者も目が肥えている時代。
なにかフックがあるというか、
「刺さる」ことがない限り、過剰なまでの情報の嵐の中、
すぐに忘れ去られてしまいます。
本屋で立ち読みして終わりの本と、
ちゃんとレジまで持っていってもらえる本の違いは、
「おや、なんだろう?」
「おもしろそう、または役立ちそう」
「これは自分のために書かれた本だ」
といった反応を読者(お客様)に呼び起こすことができるかどうかなのです。
④自分がいる出版社で企画が通せそう
出版社ごとに企画を通すポイントは異なります。出版物のラインアップを見ていれば、
どういう企画なら通りやすいかが一目で分かるもの。
あなたが提案する企画書は、ちゃんとその出版社の出版傾向に沿った内容になっているでしょうか?
児童書を出したいのに経済専門出版社に持っていく人はいないと思いますが、
企画書の書き方一つで「ちゃんとうちの出版ラインナップをわかっているな」
と思わせることに成功することだってできるのです。
そしてそれは、そんなにむずかしいことでは無いのです。
⑤売れそうな要素や材料があるか
著者の人気は?メルマガを出しているか?
新聞や雑誌に掲載されたことはあるか。
テレビやラジオ出演は?
授業や講座でその本を採用してもらうことはできるか?
ファンクラブ的なものはあるのかないのか。
ブログ記事は何年間書いていて、読者数は何人か。
顧客リストは生きているのか、何人が有効数か。
それで結局、著者買い取り数は何冊まで行けそうなのか?
僕が編集者だったら、必ずこういったことを著者(候補)に質問します。
あなたはその答えの準備ができていますか?
■まとめ
- おもしろそう!かどうか
- 他にないユニークさ
- 刺さるポイント(フック)が2、3ある
- 自社の企画会議で通せそう
- 売れそうな要素・材料があるか
これら5つのポイントが抑えられている「企画書」だったら、編集会議で通らない訳がありません。
つまり、プロの編集者の御眼鏡にかなうには、このレベルを抑えた企画書である必要性があるのです。
あなたの企画書、大丈夫ですか?
でも、そもそも「企画書」ってどう書けば良いんでしょうか?
そして、書いた後はどうすればいい?
そんな人はこちらの記事をご覧下さい!
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