本が出版されるまでの流れを5分で解説!

      2021/10/03

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本が出版されるまでの流れを解説

本を出版するまでにはたくさんのステップがあります。アイデアを「本」という形にするまでを詳しく解説します!

最近、「本を出版したい」という人からのご相談が増えています。自分の経験を人に伝えたい、ビジネスを成長させたい、社会課題を解決したい。理由は様々ですが、よく聞かれる質問が「本が出版されるまでの流れを知りたい」です。
そんな素晴らしい「志」を応援するために、出版業界歴27年、数々の出版プロデュース経験もある現役編集者が、本が出版されるまでの流れを解説しましょう!
 

●本を出版するまでの6ステップ

 
本が出版されるまでの流れ(プロセス)には、次の6つのステップがあります。

 

  1. 企画書づくり
  2. 目次
  3. 原稿執筆
  4. 編集・校正
  5. 印刷・製本
  6. 出版
 
まずは各ステップごとに解説していきましょう。

①企画書づくり

あなたは、誰のために、何のために本を出版したいのでしょうか?
この「誰のために、何のために出版するか」を明確にすることから本作りはスタートします。そして、この「誰のために、何のために」をまとめたもののことを「企画書」と呼びます
プロの編集者はいつも本の企画について考えています。そしていいネタを見つけたり、いい著者との出会いがあれば、すぐに企画書を作ります。
つまり本作りの第一歩は「企画書」を作ることなのです。
 
多くの人は「本を出版することは、原稿を書くこと」と思いがちですが、実際はそうではありません。まずは企画の概要を明確にして「企画書」としてまとめることで、著者さんと相談したり、編集者にアドバイスをもらったり、出版契約を結ぶことなどができるのです。
 
その企画書で最も重要な要素が、「誰のため、何のため」を明確にすることなのですが、これが明確でないと、出版の意図がずれてしまったり、目的を見失いがちです。そうならないために、まずは企画の概要を明確にする必要があります
 
企画書の具体的な項目については、下記の記事を参照してください。

【企画書が書けなくて困っている人に…最短最速!7つのステップ】

 
 

②目次

次にやることは、目次を作ることです。その目的は、自分の経験や学んだことをベースに「伝えたいこと」の全体構成を考えること。
いわば目次は「本の設計図」です。設計図無くして家やビルは建たないのと同じで、目次無くして本は完成しません(ごく短いエッセイや小説は除く)。
 
小冊子や電子書籍であれば1〜2万字、商業出版のためには約10万字の文字数が必要なのですが、それだけのボリュームで内容が重複しないように、順番が適切になるように、そして何よりも読者が読みやすく理解しやすいものにするためには、必ず「目次」を作る必要があります。
 
目次(コンテンツ)作りの詳細はこちらの記事をご参照ください。

●最短最速!コンテンツ整理法「マインドマップ」

 

③原稿執筆

原稿の書き方は人によっていろいろですが、いきなりパソコンを使って書き始めるのは、よっぽど書くことに慣れている人でもない限りお勧めしません。
 
特に人生で最初の1冊目を書く人には、下書きを紙とペン(あるいは鉛筆)で書くことをお勧めしています。理由は、その方が五感が刺激されて、自由な発想が湧きやすいからです。
 
紙の手触り、ペンの重さ、インクの匂い、そしてページをめくる音。
 
全てが脳を刺激して、あなたの自由な発想を手助けしてくれるでしょう。そして、手書きの作業が終わった項目から順番に、パソコンで下書き(メモ)を「清書」するつもりで入力していきましょう。そうすることで、さらに完成度の高い文章ができあがり、その後の推敲作業も楽になります。
 
ちなみに、商業出版が目的の人は、この段階で全部の原稿を書きあげる必要はありません。
すでに出版社と契約している人は別ですが、まずは企画が採用されて、出版社からゴーサインをもらうことを優先してください。
 
というのは、編集者さんと企画について検討するプロセスの中で、企画(出版の目的や意図)が変更することはよくあることだからです。だからといって、書いたものが無駄になるわけではありませんが、書くことに時間を投資する前に、出版の目的や意図を明確にしたり、出版社や編集者と事前に打ち合わせて、新たなアドバイスをもらって企画をブラシュアップすること、そして出版契約を結ぶことを優先することをお勧めします。
 
原稿書きに行き詰まったら、こちらの記事が参考になるでしょう。

さくっと「出版」を実現するための原稿執筆7つのコツ

 

④編集・校正

実は、書いた原稿がそのまま本になることは、まずありません。どんなプロが書いたものでもです。
必ず編集サイドのチェックと誤字脱字のチェック、そしてデザインも含めて、文章の読みやすさをていねいに改善させてから世に出します。
 
編集・校正を経ないと、どうしても文章と本の仕上がりの完成度が低くなってしまいますから、そのような本を出版することは、著者の信頼度がかえって下がる結果にもなりかねません。
 
よく電子書籍を個人で出版する人は、第3者のチェックを経ないで出版しがちですが、プロが書いたものでさえ誤字・誤植や、より読みやすくなるような改善(校正作業)を経ないと絶対に出版しないのですから、最低限、誰か他の人に必ずチェックしてもらってから世に送り出しましょう。これは大切なポイントです。
 
実際に、プロの編集者(あるいはプロの校正者)の手を経ることで、あなたの書いた文章は見違えるように良くなります。多少余計な時間(あるいはお金)もかかりますが、その投資に見合う結果が得られることは、すぐにあなたも実感できるでしょう。
 

⑤印刷・製本

紙の本であれば印刷し、製本(本の体裁になるよう綴じること)することによって、初めて価値あるもの(=商品)とみなされるようになります。
 
電子書籍では、e-Pub3(またはPDF)というファイル形式に変換する必要があります。
 
e-Pub3は、縦書きはもちろん、文字の大きさを変えたり、音声再生にも対応するなど、優れた汎用フォーマットです。技術力がある人は自分の力で制作することもできますが、一般にはプロに発注した方が、美しく読みやすいものができるでしょう。
 

⑥出版

紙の本であれば、書店で販売できるように納品します。
電子書籍であれば、アマゾンのKDPというサービスと契約し、e-pubファイルをサーバーにアップしましょう。
これで、あなたの本を誰でも手にすることができるようになりましたね。
おめでとうございます!
 

●どの出版方法がベストか検討する

 
書店で買う本は「商業出版」された本が大半ですが、なかには「自費出版」つまり自分でお金を出して、書いた原稿を本にして、世に出すことを目指す人もいるでしょう。また「協力出版」あるいは「企業出版」という、自費出版と商業出版の中間的なスタイルも存在します。
 
ここではそれぞれの出版方法ごとに、そのメリットとデメリットを解説します。
以下のことを理解した上で、どの出版方法が自分にとってベストかを検討してください。
 

それぞれの出版方法のメリット&デメリット

商業出版をしたいと多くの人が願っていますが、実際問題、ハードルが高いことも事実。何よりも膨大な時間がかかります。
もしビジネス(マーケティング)が目的であれば、他の出版方法を選んでハードルを下げ、時間を短縮することができるので、本来の目的が達成しやすくなります。なかには、小冊子や電子書籍を起点に数千万、数億のビジネスを成功させた人もいます。だから、「商業出版でなければ意味がない」と単純に思うのではなく、もっと自由に柔軟な発想で「出版」にチャレンジしてみてください!
 
出版方法
文字数
制作期間
費用
印税
難易度
利用目的
小冊子
1000字〜
1ヶ月
数万円〜
なし
ビジネス利用
電子書籍
1万字〜
1、2ヶ月
数万円〜
売れた部数に比例
★★
ビジネス利用/商業出版(電子化)
自費出版
任意
任意
100万円〜
なし
★★
自己満足
オンデマンド出版
5万字〜
3ヶ月
50万円〜
売れた部数に比例
★★★
ビジネス利用/学術目的/社史/商業出版の準備
企業出版
10万字〜
6ヶ月〜
数百万〜(著者が負担)
基本的には印税は発生しない(またはごくわずか)
★★★★
著者や著者の会社のマーケティング・ブランディングが目的
商業出版
10万字〜
6ヶ月〜
数百万〜(出版社が負担)
5〜10%(定価と部数に比例)
★★★★★
出版ビジネス(出版社の利益が目的)
 

●あなたの本当に望む目的は?

あなたの出版の目的はビジネスの成長でしょうか?
それとも、社会課題の解決?
ひょっとしたら、その両方を兼ね備えた道を模索しているかもしれませんね。
ここでは、目的を明確にしていただくために、それぞれの項目について簡単に解説しましょう。

ビジネス/マーケティング

マーケティング、ブランディングなど、集客や売り上げアップを目的に出版する人は大勢います。
テレビや新聞などに「著者」として紹介されれば、それだけであなたの社会的信頼が上がります。
このとき、せっかくの機会を単に「出版」だけで終わらせず、その後のビジネス展開を設計しておくことは非常に重要です。なかでも出版とマーケティングを掛け算することで、その両方に大きな成果を手にできる可能性があります。
 
もちろん、商業出版の本で著者や著者の会社の利益を最大化することを狙うことも可能ですが、そもそも出版社が発行する本は、その出版社の理念や矜持に裏打ちされているものなので、必ずしも著者の意図通りにできるわけではありません。
 
そのため、そもそもマーケティングやブランディングが目的であれば、企業出版やオンデマンド出版、あるいは電子書籍や小冊子を使った方が、スピードも早く、売上アップや見込み客にリーチするなど、実質的な投資効果を得られやすいでしょう。

社会課題の解決

最近増えているのが、社会課題の解決を目的とする出版です。クラウドファンディングで出版する場合などがこれにあたります。僕自身、最近は商業出版でも「社会課題」と絡めたテーマを企画・編集するケースが非常に増えています。
下記の3冊は直近のプロデュース作品ですが、どれも非常に高い評価を受けて、新聞書評に掲載されたり、版を重ねてベストセラーとなっています。
 

 

 

 
そもそも出版社の理念や歴史に照らすと、社会の要請や時代の必然に応える形で創業している版元(出版社)がたくさんあります。そういう意味で出版は、社会課題の解決や社会貢献こそを目指しているとも言えます。だから著者さんは、自分の理念や目的と合致した版元選びをする必要があるのです。
 

学術出版

学術書はえてしてマーケットが小さく、費用負担が大きい割には売れることを目的としないため、ハードルが高い出版形態です。だから定価を高く設定したり、教科書に指定する必要性がありました。ところが大学経営そのものが厳しくなり、大学出版界も次々と規模を縮小しているなかで、新たに注目を集めているのが、在庫を抱えない出版「オンデマンド出版」です。
 
小部数、スピード重視、ネット販売、テーマを絞った(時節にあったテーマを選んだ)出版であれば、オンデマンド出版は最適な選択肢と言えるでしょう。あるオンデマンドサービスを利用して出版された書籍が、広く関連業界に波紋を投げかけた例が多数あります。
例えば、再生可能エネルギーや石炭火力への先行きの不透明さを扱った専門家の執筆したオンデマンド出版の本は、文献として影響力を持ち、今や知る人ぞ知るロングセラーとなっています。
 

自分・自社の経験を伝える

後輩や会社スタッフたちに、会社創業時のドラマや、さまざまな苦労を乗り越えてきた歴史を伝えることは、会社の価値や理念を伝えるという面で大きな意味があります。
特に二代め、三代めと代替わりをする際に、創業者が社史をまとめておくことは、会社設立の理念を伝える意味でも重要でしょう。また新入社員に渡したり、リクルーターに渡すために、本を出版している社長・会社もたくさんあります。
 
その多くは「企業出版」という出版方法を選ぶことになるのですが、非常に高額にもかかわらず、必ずしもその投資効果が得られるとは限らないのが難しいところ。そこで近年は、相場の十分の1の投資で、確実に投資回収できる「オンデマンド出版」に注目が集まりつつあります。

出版社のスタンスは「ビジネス第一」

商業出版の目的は、社会の興味関心に応える、社会課題の解決、学術的貢献など、版元によってもさまざまですが、原則的には「出版はビジネス」と捉えていること。これは、全ての出版社に共通していることです。
 
つまりビジネスとして投資する訳ですから、儲からなければ出版しません(できません)。著作物や作品の素晴らしさを世に知らしめることが目的である場合でも、ビジネスとして成立させることは大原則です。
 
「いい原稿を書けば、どこかの出版社が出版してくれる」
 
ついそう思いがちですが、現実はそれほど甘くありません。
まずは自分の「出版の目的」が何かを明確にして、どの出版社と契約するかを慎重に検討してください。単に印税の多寡ではなく、「出版の目的」に合致しているかという視点で判断することも大切です。
 

●おすすめの出版方法 タイプ別診断

では結局、どんな出版方法がベストなのでしょうか?
次の「目的別、出版方法タイプ別診断」で、あなたにとって最適な出版方法を選んでください。
左上からスタートして、8種類の出版方法からあなたにとって最適なゴール(出版方法)がわかります。ぜひ、参考にしてみてください。

目的別!出版方法タイプ別診断

 
 
 

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