【クラウドファンディングからの出版を成功させる5つの条件】

      2020/11/02

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こんにちは、岡山泰士です。
 
実は今、海外翻訳物の編集をしてます。
環境テーマの本で、ここ25年間、力を入れてますが(→つまりずーっとやってる^^;)
そもそも、あんまり売れるジャンルではありません。
 
それでも継続してるのは、僕なりに意図があるからなんですが、
話すと長くなるので簡潔に言うと
 
「みんなに自然を好きになってもらいたい」
 
ということかなと、最近しみじみ思います。
 
「こんなに感動するものを知らないなんて!」
 と驚いたり、「もったいないなー」と感じています。
 
でも、もちろんそれだけではありません。
最近では、
 
・4年連続の台風被害の原因が「温暖化」だったり、 
・「コロナ」も元はといえば森林破壊が原因だったり、
・マイクロプラスチックを知らずに毎日食べてることだったり
(排泄してるので、リスクはまだ未知数ですが)
 

かなりヤバイ状況です。

 
「経済か、環境か?」
 
よくそういう議論がされてますが、
両者は対立するものではなく、両方を伸ばせる方法はいくらでもある。
それを伝えるために本を作ってます。直近では、この3冊。
 
『脱プラスチックへの挑戦』https://amzn.to/3jORcLz
 
『再エネ大国日本への挑戦』https://amzn.to/2D9uHQB
 
『ドキュメント豪雨災害』https://amzn.to/3f2vD6E
 
そして今新たなチャレンジが、僕が最も尊敬する人物の一人
ポール・ホーケンの著書で、世界中でベストセラーになっていながら
日本語にはまだなってなかった『DRAWDOWN』を翻訳出版すること。
 
これは、
「地球温暖化をストップするための具体的な方策を
100個も紹介」している画期的な本です。
 

 
しかも、何が一番効果的で、かつ
どれだけコストや経済効果があるかをシミュレーションしたという
今、世界が最も注目している本です。
 
 
ちょうど1年前に、古い友人の久保田あやさんからはじめて話を聞いた時点で、
この本の翻訳出版が「めっちゃハードル高!」ということにすぐ気づきました。
なぜかというと、
 
・A4フルカラー256ページなのに、文字ばっかり。
・がんばっても定価3800円ぐらいと高価になりそう。
・内容が学術っぽくやや難解。
 
という「三重苦」。
これでは、どの出版社も翻訳出版に二の足を踏むのは当然だろうな…。
 
とはいえ、僕はこの本の著者ポール・ホーケンさんが昔書いた
『自然資本の経済』(日本経済新聞出版)のことも良く知っていたので、
その著者の近著とあれば、断る理由はありませんでした。
 

●なにが編集者の心を掴んだか?

 
よく「企画書が大事」って言われていて、
僕も出版希望の皆さんにそうお伝えしていますが、
企画書って、まず最初に誰が読むと思いますか?
 
実は「編集者」なんです。
 
「企画書は著者から編集者へのラブレター」
という言い方をしてる人もいましたっけ。
 
「ちょっと気持ち悪いなー(苦笑)」と思いつつも、
あながちウソではないなと思うところもあります。
 
 
僕自身は、著者さんに企画書を書いてもらう前に、
自ら企画書を書いて企画を通していくタイプなので
(みかまるさんの『ハーブティー』(山と溪谷社)も、今回の『DRAWDOWN』も)
 
を用意して編集会議に出しています。
 
 
では何が「企画書以前」の
「こんな本出したいんだよねー」
ぐらいの想いをわざわざ形にさせたのか?というと…
その理由というか、パターンが5つぐらいあります。

 

【編集者者がつい「やりましょう!」と言ってしまう5つのポイント】

・今このタイミングで出す必要がある(と感じさせる何かがある)
・価値観に共感できる
・売る自信、売れるイメージがある
・著者にほれた(→けっこう必須かも)
・今まで世の中にない面白いものができそう!
 
僕自身が通していく企画はこの5つのうち、
少なくとも3つ、できれば5つのポイント全部が揃うと
速攻で企画書を作って、さっさと出版社の企画会議を通します。
 
なので本を出版したい人は、
「どの出版社の誰(=編集者)と一緒に仕事をしたいのか」
という視点を持って企画書を書いていただきたいということと、
 
【編集者がつい「やりましょう!」と言ってしまう5つのポイント】
を意識しいていただくと、企画書が通りやすくなると思います。
 

●『DRAWDOWN』は特別な本

 
では話を元に戻して、
なぜ三重苦の『DRAWDOWN』のプロデュースを手がけたかというと、
上記5つのポイントのうち4つを満たしていたからなんです。
ちなみに、何が欠けていたかというと「売れそう」です。
 
25年間、あの手この手で売れない
「エコロジージャンル」の本に挑戦し続けているので、
売れない理由を嫌という程わかっています。
 

【売れない本の5つの特徴】

・マーケットが小さいこと、
・努力の割に得られる結果(売上)が小さいこと
・企画がなかなか通らないこと(←売れないんだから当然)
・話題作りも難しい(書評に載ること自体がレア)
・著者が話題の人になりにくい(社会的な関心が低いテーマ)
 
でもそこで諦めずに、何か新しさや特別感、
あるいはみんなが良いと思わせる何か(価値観)を作り出して(仮説として)
提案していく(出版する)という考え方で、
結構、がんばって出版プロデュースしていってます。
 
では、売れないとわかってる本の企画をどうやって通すか?
5つ条件を考えました。
 

【それでも企画を通したい時に必要な5つの条件】

・出版協力金を出してもらう(→クラウドファンディング)
・事前に買いそうな人のリストを集めてもらう
・広報・販促活動を事前にしてもらう
・「本を世に広める」ことにコミットしたチームを作ってもらう(仲間集め)
・翻訳にも協力してもらう
 
これを誰にお願いしたかというと、最初に僕のところに話を持ってきた
久保田あやさんにお願いしました。
 
大抵の人はこれだけ条件を出されると簡単に諦めますが、
彼女は本気だったので、どれもしっかりやってくれた訳です。
なので僕もそれに応えて、出版社にOKをもらいました。
 
ただし、企画を通すだけで丸々1年かかったのは異例中の異例です!
もしこれがポール・ホーケンの本じゃなかったら、
僕自身ここまでやらなかったんではないかと思います。
 

●どうすればクラファンが成立するか?

 
結果的にクラファンは成立しました。
しかもたった6日間で必要金額の倍を集めることに成功したのです。
ただし、ここまでの前段階で、「5つの条件」を全てクリアしていました。
 
・お金の問題(もしクラファンで集まらなくても払う意思)
・仲間集め(任意団体の設立)
・買ってくれそうな人リスト(千人を超えた)
・翻訳協力体制(専門家仲間がたくさん集まった)
・広報宣伝(Facebookを主舞台に、サイトも立ち上げることに)
 
できることを全部やった上で、ラストピースとして「お金」が集まったということなのです。
 
よく「資金集め」にばかり目が行きがちなクラウドファンディングですが、
少し「引いた視点」で見たときに、何が成功と失敗を分けているかが見えてきます。
 
それは上記5つのうち、「翻訳」を除いた要素、つまり
 
・仲間集め
・見込み客
・事前の広報・宣伝・告知・販促活動
 
この3つが揃うと、結果的に「お金」も満たされるケースが多い。
 
「見込み客」という言葉がしっくり来なければ、
「マーケットニーズ」とか「社会の要請」とか「解決すべき課題」
置き換えてみてください。もしくは「みんなの夢」でもいいですね!
 
たとえば、コロナ禍で危機に陥ったJリーグ各チームがクラウドファンディングを展開していますが、
浦和レッズや鹿島アントラーズが約1ヶ月で1億円を集めています。
 
また同時期に立ち上がった「山小屋エイド基金」というクラウドファンディングもすごいです。
自粛ムードの中で誰も人が来ない山小屋が経営危機に陥ると、
山の安全や登山道の維持管理ができなくなってしまいます。
「このままでは登山者を守り、登山文化を担ってきた存在が消えてしまう!」
という危機感からスタート。
 
「山小屋を支えよう」という志に共感して、
当初予定額の30倍の9000万円に迫る勢いです。
 
ここでいう見込み客は「登山者」「山好き」ですね。
 

●まとめ

 
 今日はいろんなことを書きすぎたのですが、大切なことは3つあります。
 
  • 出版するなら、企画書を用意するのは当然として、それを読んでくれる人(編集者)を明確に意識する。
  • 編集者を「その気」にさせる5つのポイントを押さえる。
  • ハードルを乗り越える方策として「クラファン」はあり(ただし、成功のポイントが必要!)。
 
ぜひ、あなたも出版を実現して、夢の実現や社会課題の解決にお役立てください。
 
 
最後になりますが、もしあなたが4年連続している台風・豪雨災害を止められる方法が
100個あると知ったらどうしますか?
 
そして、そのどれもが実現可能で、かつ具体的な効果があるものばかりで、
その結果、何ギガトンの二酸化炭素が減り、どれだけのコストと経済効果かがわかるとしたら。
 
もしあなたの答えが「イエス!」なら、ぜひこのプロジェクトに「投資」してみませんか?
今ならまだ、温暖化の危機から抜け出せる可能性が残されています。
 
 
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