売れない時代に「売れる商品」をどう作るか?重版率8割の編集長が教える商品開発ABC
2020/06/21
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こんにちは。岡山泰士です。
昔は誰もが買う商品、誰もが口ずさむ歌、誰もが視るテレビ番組がありました。
でも今は選択肢が無数にあるので、一つのブランドが爆発的に売れるということはほぼなくて、
ニーズが多様化しています。
そんな時代に、どうすれば「売れるもの」「売れる商品」が作れるのでしょうか?
本が売れない時代、返品率が4割の時代に、本の中で重版するのは2割ぐらいでしょうか。
その中で僕は、この20年間で重版率8割でした。
今日はその秘密をお伝えします。
●マスはいない。ニッチだけがある
マスコミとかマスメディアという言葉は今、あまり幅を利かせていません。
どちらかというと、個人メディア、個人コミュニケーション、スモールコミュニティーの時代です。
仲間内で盛り上がることは多くても、お隣さんと一緒に、地域を巻き込んでの行事なんかも
段々減ってきましたよね。
出版の世界も同じで、「国民的ベストセラー」という言葉を聞かなくなって久しいですよね。
国民的ヒーロー(長島、大鳳、美空ひばり)は昭和の彼方へ。
国民的美少女や芥川賞が出版界を盛り上げてくれることもなくなりました。
●マーケットやペルソナは徹底的に絞るしかない。
僕は実用書の出版を得意としていましたが、読者の想定はいつも「何かお困り事を持っている人」でした。
例えば自転車が好きな人のために作った本のタイトルは「自転車トラブル解決ブック」。
自転車が好きな人でも、何か困ったことがあると、すぐ自転車屋さんに持っていって直してもらう人と、
手を油まみれにしながらワイヤーやレンチを駆使してブレーキ調整などをすることに喜びを見いだす人がいます。
僕の本の読者は、当然、後者のタイプです。
そういう人にとって、様々な自転車のトラブル、
例えばブレーキの効きが悪いとか、サドルに当たってお尻が痛いとか、
ギアチェンジでシフトレバーがうまく働かないとか、いろいろ課題があるわけです。
そしてその課題の解決のために、人に聞いたり、雑誌を買ったり、本を読んだりして研究熱心です。
買ってきたパーツを取り付けようとしても、うまくいかないこともあります。
組み立てる手順がわからないこともあります。
そのため、この本ではどこよりも詳しく分解写真で解説しました。
普通の本だと3点の写真で説明する手順を、10点位の写真で詳細に解説したので、
「なんだ、そういうことだったのか!」「初めてわかりました。ありがとう!」
という読者の声をたくさんいただき、ベストセラーにつながりました。
●読者の困り事を徹底的に調べる
2つめのポイントは、読者の困り事を徹底的にリサーチすると言うことです。
この本でいうと、著者さんにお願いして、まずはお客さんにアンケートをとってもらいました。
どんなことに困っていて、どんな不満があるか。
どんなとき不安を感じ、何ができないか。
そんなことを丁寧に聞き出してもらってから、その解決方法を分類し、目次を作ったのです。
この方法、かなり鉄板です(実用書・実用品においては)。
なぜかと言うと、人は自分が抱えているトラブルや困難不安不満を解消するために喜んでお金を払うからです。
課題やトラブルを抱えてない人は、わざわざお金を払おうとまでは思いませんから、
そこに商品開発やサービス提供の余地はありません。
なので、単に自転車好きのための本ではなく、
「自転車自分で整備したり、調整することに喜びを見いだす人」と対象読者を絞ったのです。
●競合を徹底的にリサーチする
3つめのポイントは「競合を徹底的にリサーチする」です。
大きな本屋に行くと、自転車関連本だけで100冊や200冊はあります。
その中でもわざわざ買っていただくためにはどうしたら良いかというと、
何が売れて、何が売れないかを徹底的に調べあげるしかありません。
価格帯ごとに何が売れているか、何冊売れているか、
あるいはアマゾンの「総合ランキング」が何番目かを調べて表にします。
そうすると大体の傾向が見えてきます。
売れてる本には、売れてるなりの理由があるので、自分なりに整理してみましょう。
その上で、1番売れている本においても必ず改善点を見つけ出すことができます。
そしてそれを上回る改善提案を企画するのです。
そうすれば、その本は既存の本より売れる人気商品になる可能性が高くなります。
先程の自転車の例でいうと、細かい手順という言い方をしていますが、
別の言い方をすると「スモールステップ(課題解決のための)」を提示してあげる事だけで、
その本の商品価値を高めてくれます。商品やサービスの質を高めてくれるのです。
多くの人が課題を解決したくて買った本を読んでも、実際にはその課題が解決できないことが大半です。
料理本を読んで料理ができる人は、ある程度料理に通じている人だけですよね!
●ロングテール商品=ベストセラー
先ほど自転車トラブルの例で言うと、
この本は7年間にわたりほぼアマゾンの自転車分野で1位をキープし続けました。
その秘密は商品開発に成功しただけではありません。
アマゾンの自転車ジャンルで1番だったおかげで、
アマゾンで自転車のパーツを購入した人に必ずレコメンドされていたのです。
アマゾンとしても売り上げを伸ばしたいわけですから、
単にパーツを買っただけでは、そのパーツを組み上げることができませんから、
「この本もいっしょにいかがですか?」
とお客様に推薦することがで喜ばれるわけです。
また販売実績もありますので、
在庫をたくさん抱えて販売機会を逃さないという積極的な手を打つことができました。
これらの「プロダクツと販売施策の掛け算」がうまくいくとベストセラーという商品を生み出すことができるのです。
ご参考にしてください。